PARABOLIC SAR SIMULATOR
パラボリックSARの計算式シミュレーター
パラボリックSARは、ローソク足の上か下に点を並べるインジケーターです。点がどう計算されて、いつ上と下が入れ替わるのかを、チャートを1本ずつ進めながら見ていきます。
- SAR(0.02, 0.02, 0.2)
- 次の足のSAR
- ▲▼ 反転
よく使われる設定:始まりの値 0.02・増やす幅 0.02・上限 0.2。ワイルダーが紹介した値で、TradingView などの初期設定もこの値です。
チャートは USD/JPY に似せて乱数で作った見本で、本物の相場ではありません。チャートをタップすると、その足に移動します。
この足の計算
- 向き
- 上昇中(点は足の下)
- この足のSAR
- 1本前の足が終わったときに、もう計算してあった値 = 151.543
- 反転するか
- 安値 151.622 は SAR 151.543 より上 → 反転しない
- EP(極値)
- 高値 151.880 が最高値を更新 → 151.852 から 151.880 へ
- AF(加速因子)
- EPが更新されたので +0.02。ただし上限 0.2 で止める → 0.2
- 次の足のSAR(式)
- 151.543 + 0.2 × (151.880 − 151.543) = 151.611
- 安値をこえていないか
- この足と1本前の安値のうち低いほう 151.588 を上にこえたので、151.588 にそろえる
- 次の足のSAR(決まり)
- 151.588(チャートの白抜きの点)
チャートに点を打つまで
SARの値 151.543 を、画面のどこに置くか(ピクセルの位置)に直します。
x = 左はし + (足の番号 + 0.5) × 足の幅 = 6 + (85 + 0.5) × 4.80 = 416.4 px y = 枠の上 + (上限 − 値) ÷ (上限 − 下限) × 枠の高さ = 10 + (152.488 − 151.543) ÷ (152.488 − 149.807) × 320 = 122.8 px
線ではなく点で描く理由:SARは反転するたびに、足の下から上へ(上から下へ)飛び移ります。線でつなぐと、その飛び移りが値段の動きのように見えてしまいます。だから1本前の点とはつながず、点だけを打ちます。
ここまでに出たサイン
SARが反転した足に印を付けています。点が足の下に移ったら ▲、上に移ったら ▼ です。
- 66本目▲高値がSARに届いて、上昇に反転(点が足の下へ)
- 64本目▼安値がSARに届いて、下降に反転(点が足の上へ)
- 56本目▲高値がSARに届いて、上昇に反転(点が足の下へ)
- 51本目▼安値がSARに届いて、下降に反転(点が足の上へ)
- 50本目▲高値がSARに届いて、上昇に反転(点が足の下へ)
- 28本目▼安値がSARに届いて、下降に反転(点が足の上へ)
86本のうち 8 回
見本のチャートは乱数なので、サインのあと上がったかどうかに意味はありません。見るのは「どんな形のときに、どれくらい出るか」です。
パラボリックSARとは
SARはStop And Reverse(ストップ・アンド・リバース)の略で、「止めて、反対に向ける」という意味です。RSIと同じワイルダーという人が、1978年の本で紹介しました。
上昇中は足の下に、下降中は足の上に点を打ちます。点の並びが放物線(パラボラ)のようなカーブを描くことが、「パラボリック」という名前の由来です。値段が点に届いたら、いまの向きを止めて、反対の向きに切り替えます。名前のとおりの動きです。
計算式
言葉にすると、点を、EPに向かって「差のAF倍」だけ近づける計算です。AFが0.02なら、点とEPの差の2%ぶん近づきます。
AF(加速因子)は、この「近づける割合」のことです。上昇中に新しい高値が出るたびに0.02ずつ増えて、0.2で止まります。高値が出ない足では増えません。トレンドが続くほどAFが大きくなって、点が値段に近づく速さが上がります。これが「加速」の意味です。
次の足の点は、この足が終わった時点でもう決まります。シミュレーターの白抜きの点がそれです。「いまの足をまだ動いている状態にする」をオンにすると、足が動いても点は動かないのが分かります。
計算にはルールがあと3つある
- 足の値幅に入りこまない:上昇中の点は、この足と1本前の足の安値より上には置きません。式で上にはみ出したら、2本の安値のうち低いほうにそろえます。下降中は逆で、2本の高値のうち高いほうより下には置きません。
- 値段が点に届いたら反転:上昇中に安値が点に届いたら(安値がSAR以下になったら)、下降に切り替わります。下降中に高値が点に届いたら、上昇に切り替わります。
- 反転した足の点は、前のEPに飛ぶ:上昇から下降に変わったら、点は上昇中のいちばん高かった値に飛びます。AFは0.02に戻り、EPはその足の安値から数え直します。
シミュレーターの「この足の計算」で、反転した足をクリックすると、点が前のEPに飛ぶところを数字で追えます。
線ではなく点で描く理由
SARは反転するたびに、足の下から上へ、上から下へと飛び移ります。線でつなぐと、この飛び移りが大きな値動きのように見えてしまいます。そもそも点は「その足での止める位置」なので、点と点の間に意味はありません。だから、つながずに点だけを打ちます。
設定を変えると、どう変わる?
AFを大きくすると、点が値段に早く近づくので、少しの戻りでも点に届いて反転しやすくなります。AFを小さくすると、点がゆっくり動くので、反転は減りますが、反転するまでの遅れが大きくなります。
このページの見本(120本)で、反転の回数を数えると次のとおりでした。
- ゆっくり(0.01, 0.01, 0.1):上げ下げ混在 4回、上昇トレンド 4回、横ばい 11回
- よく使われる設定(0.02, 0.02, 0.2):上げ下げ混在 12回、上昇トレンド 8回、横ばい 19回
- 速い(0.04, 0.04, 0.4):上げ下げ混在 18回、上昇トレンド 12回、横ばい 23回
なお、上限だけを0.2から0.4に上げても、この見本ではどの形でも反転の回数は変わりませんでした。上限を変えて違いが出るのは、新しい高値(安値)が10回以上続いて、AFが0.2をこえようとする場面だけです(0.02に0.02を9回足すと0.2)。
よく使われる設定
始まりの値0.02、増やす幅0.02、上限0.2が、ワイルダーが紹介した値で、TradingViewの初期設定もこの値です。FX会社の解説でも、この組み合わせが基本の設定として紹介されています。このシミュレーターもこの設定で始まります。
トレードでの使われ方
よく紹介されるのは、次のような使い方です。どれも「こう使う人が多い」という話で、これで勝てると確かめたものではありません。
- 損切り・利益確定の位置の目安:買っているなら、足の下の点を「ここまで下がったら手じまう位置」と見ます。点はトレンドに合わせて少しずつ上がるので、逃げる位置を少しずつ引き上げる(トレーリングストップ)ような使い方になります。
- 反転を売買のきっかけにする:点が足の下に移ったら(▲)買い、上に移ったら(▼)売り、と読む使い方です。名前のとおり、手じまいと同時に反対の向きに入る(ドテン)使い方として紹介されることもあります。
- ほかのものと組み合わせる:反転だけで決めず、長い時間足のトレンドや、直近の高値・安値と合わせて見る、という使い方も紹介されています。
気をつけること
SARは、いつも上昇か下降のどちらかを示します。「どちらでもない」がありません。だから、方向のはっきりしない横ばいの相場でも、点は上と下を行ったり来たりして、そのたびに反転のサインが出ます。
見本で数えると、よく使われる設定で反転は上昇トレンドが8回、横ばいが19回でした。横ばいでは、19回のうち7回が、前の反転から3本以内にまた反転したものでした。シミュレーターで相場の形を「横ばい(レンジ)」に切り替えると、▲と▼が交互に並ぶのが見えます。
また、反転はいつも値段がもう動いたあとです。点は前の足までの値段から計算するので、急な値動きには遅れます。
ふくり博士
SARは「いつも上か下か、どちらかに張っている」インジケーターじゃ。横ばいの相場では、点に何度もぶつかって行ったり来たりするぞ。点を逃げる位置の目安にするなら、相場の形もいっしょに見るのじゃ。
あわせて読みたい
- 損切り・利確を正しく置く:SARを逃げる位置の目安にするなら
- ATR シミュレーター:値動きの大きさを測るインジケーター
- SMA(単純移動平均線)シミュレーター:線で描くインジケーターの基本
- RSI シミュレーター:同じワイルダーが考えたインジケーター
- トレンドとは
- レンジとは
ほかのインジケーター
-
SMA
SMA(単純移動平均線)シミュレーター
移動平均線はどう計算して、どう描かれている? 期間を変えると?
-
EMA
EMA(指数移動平均線)シミュレーター
SMAと何が違う? なぜ早く反応する?
-
BOLLINGER BANDS
ボリンジャーバンド シミュレーター
±2σはどう計算する? バンドの外に出たら買い?売り?
-
RSI
RSI シミュレーター
70・30は何の数字? 計算式が2種類あるのはなぜ?
-
MACD
MACD シミュレーター
MACDとシグナルは何の差? 設定を変えるとどうなる?
-
STOCHASTICS
ストキャスティクス シミュレーター
%Kと%Dは何の数字? ファストとスローは何が違う?
-
ICHIMOKU
一目均衡表 シミュレーター
5本の線はどう計算する? なぜ雲は未来に描かれる?
-
RCI
RCI シミュレーター
日付と価格の「順位」で何が分かる? ±80や9・26・52の意味は?
-
ATR
ATR シミュレーター
トゥルーレンジって何? 損切り幅はATRの何倍?