ATR SIMULATOR
ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)の計算式シミュレーター
ATRは「1本の足が、ふだんどれくらい動くか」を表すインジケーターです。上がるか下がるかではなく、動きの大きさだけを見ます。どう計算して、損切り幅にどう使われるのかを、チャートを1本ずつ進めながら見ていきます。
- ATR(14)
- 1本ごとのトゥルーレンジ
- 終値 − ATR×2
- 終値 + ATR×2
- ◆ 大きく動いた足
よく使われる期間:14本。チャートソフトの初期設定や、FX会社の解説でよく挙がる数です。損切り幅の倍率は、解説によって1.5倍・2倍・3倍などばらばらです。
チャートは USD/JPY に似せて乱数で作った見本で、本物の相場ではありません。値幅は 1pip=0.01円 で pips に直しています。チャートをタップすると、その足に移動します。
この足の計算
3つの値幅のうち、いちばん大きいものを選ぶ
- ① 高値 − 安値 ← いちばん大きい
- 151.880 − 151.622 = 0.258
- ② |高値 − 前の終値|
- |151.880 − 151.676| = 0.204
- ③ |安値 − 前の終値|
- |151.622 − 151.676| = 0.054
- トゥルーレンジ
- 0.258 円 = 25.8 pips前の終値がこの足の高値と安値の間にあるので、①がいちばん大きくなります(窓が無い足はいつもこう)。
- ATR(ワイルダーの方式)
- (0.2071 × 13 + 0.258) ÷ 14 = 0.2108
- pips に直すと
- 0.2108 × 100 = 21.1 pips
チャートに点を打つまで
ATRの値 0.2108 を、画面のどこに置くか(ピクセルの位置)に直します。ATRは「値幅」なので、値段の枠ではなく、0から始まる下の別の枠に描きます。
x = 左はし + (足の番号 + 0.5) × 足の幅 = 6 + (85 + 0.5) × 4.80 = 416.4 px y = 枠の上 + (上限 − 値) ÷ (上限 − 0) × 枠の高さ = 324 + (0.4136 − 0.2108) ÷ 0.4136 × 140 = 392.7 px
1本前の点 (411.6, 393.9) から、この点まで直線を引きます。これを1本ごとにくり返したものが、チャートの線です。
損切り幅に使うと
- ATR × 2
- 0.2108 × 2 = 0.422 円 = 42.2 pips
- 買いなら、損切りの目安
- 終値 151.837 − 0.422 = 151.415
- 売りなら、損切りの目安
- 終値 151.837 + 0.422 = 152.259
倍率は解説によって1.5倍・2倍・3倍などばらばらで、どれがよいかは確かめていません。ATRは値幅だけを見るので、買いか売りかは教えてくれません。
大きく動いた足
トゥルーレンジが、1本前のATRの2倍以上だった足に ◆ を付けています(このページで決めた目安です)。
- まだありません。
計算式
まず1本ごとに「トゥルーレンジ(本当の値幅)」を出します。ふつうは①の高値−安値です。ただ、前の足の終値から値段が飛んで始まると(これを「窓あけ」と言います)、飛んだ分は①に入りません。そこで②と③で、前の終値から高値・安値までの距離も測り、いちばん大きいものを選びます。
| | は「プラスでもマイナスでも、大きさだけを見る」という記号です。だからATRには上げ・下げの向きがありません。大きく上げた足も、大きく下げた足も、同じように大きな値として入ります。
あとは、このトゥルーレンジを平均したものがATRです。単位は値段と同じなので、USD/JPYなら「円」。1pip=0.01円なので、100倍するとpipsになります。シミュレーターの「この足の計算」で、3つの候補のどれが選ばれたかと、pipsに直した数字を確かめられます。
平均のとり方が2種類ある
- ワイルダーの方式(ATRを考えたJ・W・ワイルダーの方式):最初だけ単純に平均し、そのあとは「前回のATR ×(n−1)+ 今回のトゥルーレンジ」をnで割ります。前回の値を引き継ぐので、古い足の影響が少しずつ残ります。RSIの平均と同じやり方で、このページの基本の線はこちらです。
- 単純平均の方式:毎回、直近n本のトゥルーレンジをそのまま平均します。古い足はn本で完全に抜けます。
どちらを使うかはチャートソフトによって違います。TradingViewは、初期設定がワイルダーの方式(TradingViewでは「RMA」と呼ぶ平均)で、設定でSMA・EMA・WMAにも変えられる、と公式の説明に書かれています。ソフトを変えたらATRの数字が少し違った、というときは、たいていこの違いです。
この見本で比べると、単純平均のほうが1本ごとによく動きます。期間14で、1本あたりの動きの平均はワイルダーの方式が約0.4pips、単純平均が約0.5〜0.6pipsでした(3つの相場の形すべてで、単純平均のほうが大きい)。
期間を変えると、どう変わる?
よく使われる期間は14です。TradingViewの初期設定は14です(公式の説明で確認)。FX会社の解説(IG証券、EBCなど)でも14が挙がっています。このシミュレーターは14で始まります。
期間が短いと、1本の大きな足でATRが大きく動きます。期間が長いと、ATRはほとんど横ばいになります。この見本では、1本あたりの動きの平均(ワイルダーの方式)は、期間5で約1.1〜1.2pips、期間14で約0.4pips、期間28で約0.2pipsでした。
ATRは遅れて広がり、ゆっくり戻る
ATRは平均なので、相場が急に荒れても、すぐには追いつきません。「61〜90本目だけ値動きを2倍に荒くする」にチェックを入れて、確かめてみてください。
この見本で期間14のATRを測ると、荒れる前(60本目)は約17〜21pips、荒れが終わる90本目には約38〜41pipsまで広がりました。荒れが終わって15本たった105本目でも、ワイルダーの方式は約24〜26pipsと高いまま残り、単純平均は約16〜19pipsまで戻っていました。古い足をn本できっぱり捨てる単純平均のほうが、戻るのも早いということです。
トレードでの使われ方
よく紹介されるのは次のような使い方です。どれも勝てると確かめたものではありません。
- 損切り幅を決める:「損切り幅 = ATR × 倍率」として、ふだんの値動きでは引っかからない距離に損切りを置く、という使い方です。倍率は解説によって違い、1.5倍や2倍を例に挙げるFX会社の解説もあれば、StockChartsが紹介する「シャンデリア・エグジット」のようにATR(期間22)の3倍を使うものもあります。シミュレーターの点線と「損切り幅に使うと」の欄で、いまの足だとそれが何pipsになるかを見られます。
- ロット(取引量)を調整する:損切り幅がATRで広がったら、そのぶんロットを小さくして、1回の損を同じ金額にそろえる、という考え方です。計算のしかたはロット計算 完全ガイドで説明しています。
- 相場が動いているかを見る:ATRが低いままなら値動きが小さい、急に広がったら荒れ始めた、と見ます。シミュレーターでは、トゥルーレンジが1本前のATRの2倍以上だった足に ◆ を付けています(2倍はこのページで決めた目安です)。
なお、このページには「売買サイン」の欄がありません。ATRは向きを見ないので、ATRだけでは買いか売りかを決められないからです。向きは、移動平均線やMACDなど別のインジケーターで見ることになります。
気をつけること
ATRは過去の値幅の平均です。これから先の値幅を当てるものではありません。上で見たとおり、急に荒れたときは遅れて広がるので、荒れ始めの足では損切りが近すぎることがあります。
また、ATRは「1本の足」の値幅の平均なので、5分足と日足では同じ通貨ペアでも数字が違います。損切り幅に使うときは、実際にトレードする時間足のATRを見る必要があります。
損切り幅を広くすると、1回の損も大きくなります。ATRで損切り幅を決めたら、ロットを見直すところまでがセットです。
ふくり博士
ATRは「この相場は1本でどれくらい動くか」を測るものさしじゃ。上か下かは教えてくれんが、損切りをどこに置くか考えるときの手がかりにはなるぞ。
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