ひとことで言うと

両建てとは、同じ通貨ペアで「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有することです。ドル円のロングとショートを同時に持っている状態がこれにあたります。

一見すると「買いと売りで損益が相殺されるから意味がないのでは?」と思えますが、実際にはいくつかの目的で使われています。

ふくり博士(ひらめき)

ふくり博士

傘と日焼け止めを両方持って出かけるようなものじゃ。 雨が降っても晴れても対応できるが、荷物は増える。 両建ても同じで、リスクを抑える代わりにコストがかかるのじゃ。

両建ての使い方

両建てが使われる主な場面は3つあります。

一時的なヘッジ。長期の買いポジションを持ったまま、短期的な下落に備えて売りポジションを追加する。下落が終わったら売りだけ閉じて、買いはそのまま保有する使い方です。

指標発表時のリスク回避。大きな指標の前に両建てしておき、結果が出てから不利な方を損切りする。ただし両方向にスプレッド分のコストがかかるので、思ったほど有利ではありません。

キャッシュバック目的の取引量確保。両建てで往復の取引を行えば、実質的にポジションを相殺しながら取引量(ロット数)を積み上げられます。キャッシュバックは取引量に応じて支払われるため、この方法で還元額を増やそうとするトレーダーもいます。

両建てのデメリット

スプレッドが2倍かかる。買いと売り、それぞれにスプレッドを支払う。つまり何も起きていないのにコストだけ発生します。

スワップ差で毎日マイナスが出る。多くの通貨ペアでは、買いスワップと売りスワップを合計するとマイナスになる。両建てを長期間持つと、スワップコストが積み上がります。

心理的に判断が複雑になる。「どちらを先に閉じるか」「いつ解除するか」の判断が増え、結果的に損切りも利確も中途半端になりやすい。

ふくり博士(考え中)

ふくり博士

わしの正直な意見を言えば、初心者にとって両建ては「逃げ」になりやすいのじゃ。 損切りできないから両建てする、というパターンが非常に多い。 両建てしても含み損は消えておらんぞ。先送りにしておるだけじゃ。

業者の両建てルール

両建てに対するルールは業者によって異なります。確認すべきポイントは3つ。

同一口座内の両建て: ほとんどの業者で許可されています。必要証拠金が相殺される(片方分の証拠金だけで済む)業者も多い。

異なる口座間での両建て: 同じ業者の別口座間で両建てすることを禁止している業者があります。ゼロカットを悪用した裁定取引と見なされるためです。

異なる業者間での両建て: A社で買い・B社で売り、という形。多くの業者の利用規約では明確に禁止されています。発覚すると利益没収やアカウント凍結のリスクがあります。

とくにゼロカットのある海外FXでは、業者間両建てによる「片方で利益・片方はゼロカット」という手法は厳しく取り締まられています。

複利との関係

両建ては複利運用との相性が 基本的にはよくありません。理由は明快で、両建てしている間は資金が利益を生まないのにコストだけが発生する からです。

スプレッド2回分+スワップ差のマイナス。これが毎日少しずつ元本を削る。複利運用では「元本から漏れ出るコスト」が長期で大きな差になるので、両建ての常用は複利のカーブを鈍化させます。連敗時に両建てへ逃げない設計の考え方は 連敗・ドローダウンに耐える設計 で扱っています。

ただし、キャッシュバックを加味すると話が変わるケースもあります。両建ての往復取引で得られるキャッシュバックが、スプレッドとスワップのコストを上回るなら、実質的にプラスになる可能性はある。これは業者・口座タイプ・通貨ペアの組み合わせ次第なので、実質スプレッド計算ツールでトータルコストを確認してから判断するのが安全です。

ふくり博士(注意)

ふくり博士

両建てでキャッシュバックを稼ぐ手法は、業者側も把握しておる。 過度な両建てトレードはボーナス剥奪やアカウント制限の対象になることがあるぞ。 あくまで通常のトレードの中で自然に発生する両建てに留めるのが賢明じゃ。