ひとことで言うと

勝率とは、全取引のうち利益で終わった取引の割合のことです。100回トレードして40回が利益確定、60回が損切りで終わったなら勝率は40%、という単純な数字になります。

シンプルなだけに、勝率は「トレードがうまいかどうか」の指標として一番目につきやすい数字です。ただし、勝率だけ見て手法の良し悪しを判断するのは危険でもあります。

理由はシンプルで、勝率には「いくら勝って、いくら負けたか」の情報が含まれていないからです。100回中90回勝っていても、1回の負けで全部吹き飛ぶこともあります。勝率の数字を読むには、必ず平均利益と平均損失(=リスクリワード比)とセットで見る必要があります。

ふくり博士(ひらめき)

ふくり博士

野球でたとえるとわかりやすいぞ。 「打率3割」と聞くと優秀に思えるが、それだけでは強打者か単打型かはわからん。 ホームラン1本+三振9回でも打率1割じゃが、本塁打王かもしれん。 勝率も同じで、数字単独では何も語っておらんのじゃ。

勝率と期待値の関係

勝率は単独では意味を持ちませんが、リスクリワード比(RR)とかけ合わせると期待値という意味のある数字になります。

  • 期待値 =(勝率 × 平均利益)−(負け率 × 平均損失)

たとえば次の3つの手法を比べてみましょう。

手法勝率平均利益平均損失期待値
A80%5pips30pips−2pips
B50%20pips20pips±0pips
C30%50pips10pips+8pips

勝率80%のAは負け越し、勝率30%のCが一番勝てています。勝率の数字だけ見ると逆の判断をしてしまいがちです。

「勝率の高さ=強さ」というのは直感的に正しそうに見えて、実際は勝率と利益額の合算で見ないと判断材料になりません。期待値の組み立て方は 期待値 で整理しています。

サンプル数の壁

勝率には少ない試行回数では真の値に収束しないという性質があります。

たとえば本来の勝率が50%の手法でも、

  • 10回中: 3勝7敗(勝率30%)になることはよくある
  • 100回中: 45勝55敗(勝率45%)くらいまでブレ得る
  • 1,000回中: ようやく48〜52%あたりに落ち着く

つまり「過去20回のトレードで勝率35%だった」というデータは、ほぼ偶然のバラつきの範囲内です。本当の勝率を語るにはもっと多くのサンプルが必要になります。

逆も言えます。「直近10連勝した」のは手法が天才なのではなく、ただの確率の波の表側である可能性が高いです。10連勝の次に10連敗があっても、それは確率的に普通に起きます。

数字を信じすぎず、1回の勝ち負けにも、短期の連勝連敗にも揺れない心構えが要ります。

ふくり博士(考え中)

ふくり博士

10連勝した翌日に大ロットで突っ込む人は多い。 「自分は勝てるパターンに乗っている」と勘違いするからじゃ。 でも、その10勝が偶然の波だったとしたら、次の10戦は普通の勝率に戻るだけ。 サンプル数の壁を意識せんと、勝率の数字に踊らされるぞ。

勝率を上げる方向、下げる方向

勝率は取引ルールの設計次第で意図的に上げ下げできます。ただし、勝率を上げると別の数字が必ず犠牲になります。

設計の方向勝率の変化犠牲になるもの
利確を近く・損切りを遠く上がるリスクリワード比
利確を遠く・損切りを近く下がる連敗回数の増加
エントリー条件を厳しく上がる取引機会の減少
エントリー条件を緩く下がるサンプル数の増加(学習しやすい)

正解はありません。自分の性格と運用ロジックに合った勝率レンジを選ぶことになります。連敗が続くと耐えられない人は、勝率高め・利確近めが合います。多少の連敗には動じない人は、勝率低め・RR高めが合います。

「勝率○%以上の手法を探す」という発想ではなく、「自分が淡々と続けられる勝率は何%か」から逆算するほうが現実的です。

連敗の確率を計算する

勝率がわかると、何連敗まで覚悟しておくべきかが確率で出せます。

勝率5連敗の確率10連敗の確率
60%約1%ほぼゼロ
50%約3%約0.1%
40%約8%約0.6%
30%約17%約2.8%

勝率30%の手法を回しているなら、10連敗は2〜3%の確率で普通に起きるということ。100回取引すれば、その間に何度かは10連敗のシリーズに巻き込まれる計算になります。

連敗を「異常事態」と捉えるか「想定内のイベント」と捉えるかで、ルール違反の起きやすさが変わります。連敗の最大想定回数 × 1トレードのリスクが、自分が耐えられる損失の合計を超えないように設計しておくのが資金管理の出発点です。

複利との関係

複利運用と勝率の関係は、ロットサイズの設計に直結する点で見るとわかりやすいです。

複利は増えた残高に応じてロットを段階的に上げていく仕組みなので、

  • 連敗が続いても破綻しないロット設計
  • 勝率に応じた最大連敗想定の確保
  • 1トレードあたりのリスク上限の固定

という前提条件が崩れると、複利曲線が一気に折れます。勝率が低めの手法を回すなら、より小さなロットで連敗に耐える設計が要るし、勝率高めなら多少ロットを上げる余地が出てきます。

具体的なロット計算は ロットサイズの決め方、1トレードあたりの最大損失の決め方は 2%ルール で整理しています。

ふくり博士(注意)

ふくり博士

「勝率が下がってきた気がする」と感じたとき、それが本当に手法の劣化か、確率の揺れかを見極めるのは難しい。 少なくとも30〜50回のサンプルを集めるまでは、ルールを途中で変えないこと。 揺れの範囲か劣化かを判定する材料がそろってから判断するのじゃぞ。