ひとことで言うと

スリッページとは、注文を出したときの価格と、実際に約定した価格の差のこと。「滑り」とも呼ばれます。

たとえば、ドル円を150.000で買い注文を出したのに、実際には150.020で約定した。この2pipsの差がスリッページです。自分が望んだ価格よりも不利な価格で約定してしまうので、取引コストが増えます。

ふくり博士(ひらめき)

ふくり博士

スプレッドは「見えるコスト」、スリッページは「見えにくいコスト」じゃ。 取引履歴を見ないと気づかないことも多い。 じゃが年間で合計すると、スプレッドに匹敵する額になることもあるぞ。

なぜスリッページが発生するのか

原因は大きく3つあります。

1. 注文の伝達に時間がかかる

注文ボタンを押してからサーバーに到達するまでの間に、相場は動き続けています。この微小なタイムラグの間にレートが変動すると、注文時と約定時の価格にズレが生じます。

2. 流動性が低い

買い手・売り手が少ない時間帯(早朝やクリスマス時期など)は、希望する価格で取引できる相手がいないため、次に近い価格で約定することになります。

3. 急激な値動き

雇用統計やFOMCなどの重要指標の発表直後は、一瞬で大量の注文が殺到します。このとき、注文が処理される順番待ちの間にレートが動いてしまいます。

スリッページは必ず不利とは限らない

意外かもしれませんが、スリッページには 有利な方向に滑るケース もあります。150.000で買い注文を出したのに149.990で約定した場合、1pip分お得になっています。

ただし統計的に見ると、不利なスリッページの方が多い傾向にあります。業者によってはプラスのスリッページだけカットする(有利滑りは適用しない)ケースもあると言われるので、業者選びの際は注意したいところです。

ふくり博士(考え中)

ふくり博士

有利なスリッページもきちんと反映してくれる業者かどうか。 これを確認するのは難しいが、NDD方式の業者の方が公正な傾向にあるのじゃ。 約定の透明性は、長期トレーダーほど重視すべきポイントじゃよ。

スリッページを減らすには

完全にゼロにはできませんが、軽減する方法はあります。

  • 指値注文を使う: 成行注文は「今すぐ約定させて」という注文なので滑りやすい。指値注文なら指定した価格でしか約定しない
  • 流動性が高い時間帯に取引する: ロンドン〜ニューヨーク市場が重なる日本時間21〜25時ごろがもっとも流動性が高い
  • 重要指標の直前・直後を避ける: 発表前後の数分間はスリッページが跳ね上がる
  • 約定力の高い業者を選ぶ: サーバー品質やリクイディティプロバイダーの数が約定力に直結する

複利との関係

スリッページは、計算に出てこないが確実に発生しているコストです。スプレッドだけを見てコストを計算していると、実際のパフォーマンスとの間に「なぜか合わない差」が出てきます。その正体がスリッページであることは多い。

複利運用でコストの最適化を考えるなら、スプレッドと取引手数料に加えて、スリッページの平均値も把握しておきたいところです。取引履歴から「注文価格」と「約定価格」の差を集計するだけで、隠れたコストの全貌が見えてきます。コストと複利曲線の関係は 複利運用×海外FXのコンセプト で全体像を整理しています。

ふくり博士(注意)

ふくり博士

スリッページは「運が悪かった」で済ませてはいかん。 毎月の取引履歴を振り返って、平均スリッページがどの程度かを把握するのじゃ。 見えないものを見ようとする習慣が、複利運用では地味に効いてくるぞ。