ひとことで言うと

ドローダウンとは、資金のピーク(最高額)から一時的に減った幅のことです。口座残高が100万円まで増えたあと、80万円に減ったら、ドローダウンは20万円(20%)になります。

トレードをしていれば、勝ったり負けたりするのは当然。問題は「どれくらい深い谷を経験するか」で、この谷の深さを数値化したのがドローダウンです。

ふくり博士(ひらめき)

ふくり博士

登山で例えるなら、山頂から谷底までの高低差じゃな。 標高が上がったり下がったりしながら進む道で、 「今回の谷はどれくらい深いか?」を測っておるのじゃ。

最大ドローダウンが重要な理由

トレード成績を見るとき、多くの人は勝率や利益額にばかり目が行きます。しかしプロが真っ先にチェックするのは 最大ドローダウン(Maximum Drawdown) です。

最大ドローダウンとは、過去のトレード記録の中で 最も深かった谷の幅 のこと。この数字が大きいほど、そのトレード手法は精神的にも資金的にもキツいタイミングがある、ということです。

たとえば年間リターン50%の手法が2つあったとします。

  • 手法A: 最大ドローダウン 15%
  • 手法B: 最大ドローダウン 50%

どちらも年間リターンは同じですが、手法Bでは一時的に口座が半分になる局面があります。その最中に耐えられるかどうかは、数字の上だけの問題ではありません。

ドローダウンからの回復は対称ではない

ドローダウンの怖さは 回復に必要なリターンが、損失の割合より大きい 点にあります。

ドローダウン回復に必要なリターン
10%約11%
20%25%
30%約43%
50%100%
80%400%

50%の損失を取り戻すには100%のリターン、つまり資金を2倍にしなければなりません。80%の損失なら5倍。数字が大きくなるほど回復が絶望的になっていきます。

ふくり博士(考え中)

ふくり博士

10万円を1万円にするのは簡単じゃが、 1万円を10万円に戻すのは途方もなく大変じゃろう? この非対称性を体感的に理解しておくことが大事なのじゃ。

ドローダウンを抑える方法

ドローダウンをゼロにすることはできませんが、小さく抑える方法はあります。

1回のリスクを限定する。1回の取引で失う金額を口座残高の1〜2%に抑えるのが基本。10連敗しても残高の80%以上が残る計算になります。

損切りを必ず設定する。エントリーと同時にストップロスを置きます。「もう少し待てば戻るかも」が最大ドローダウンの原因になりやすい。

相関の高いポジションを同時に持たない。ドル円のロングとユーロ円のロングを同時に持つと、円高が来たときに両方同時に損失を受けます。

複利との関係

複利運用の本質は 利益を元本に組み込んで次の運用に回す こと。しかし、ドローダウンが深いと、複利の恩恵が一気に吹き飛びます。

100万円を月利5%で複利運用するケースを考えてみます。12ヶ月順調にいけば約179万円。ところが途中で40%のドローダウンを食らうと、そこからの回復に何ヶ月もかかり、最終的な資産は大幅に減ります。

複利は「増やす力」が注目されがちですが、「減らさない力」の方がはるかに重要です。月利5%を狙う前に、まず最大ドローダウンを15〜20%程度に抑えるにはどうすればいいか — その順番で考える方が、長期的に資産は大きくなります。具体的な耐久設計の進め方は 連敗・ドローダウンに耐える設計 で深掘りしています。

ふくり博士(注意)

ふくり博士

バックテストで最大ドローダウン30%の手法は、 リアルでは40〜50%になると思っておいた方がよいぞ。 バックテストには「メンタル」という変数が入っておらんからのう。 余裕を持ったリスク設計を心がけるのじゃ。