ひとことで言うと
追証(おいしょう)とは、口座の証拠金が不足したときに、業者から追加の入金を求められることです。正式には「追加証拠金」。期限内に入金しないとポジションが強制決済されます。
さらに深刻なのは、急激な相場変動で口座残高がマイナスになった場合。このマイナス分も 支払い義務のある借金 になります。追証は単なる「入金してください」という警告ではなく、場合によっては生活を脅かすリスクです。
ふくり博士
クレジットカードの限度額超過に似ておる。 使いすぎると「これ以上は追加入金が必要です」と言われるじゃろう? ただしFXの追証は、最悪の場合マイナス残高を支払う義務まである。 クレカの限度額超過とは深刻さのレベルが違うのじゃ。
追証が発生する仕組み
追証が発生するのは主に2つのパターンがあります。
パターン1: 証拠金維持率の低下
含み損が膨らんで証拠金維持率が業者の定める水準(100%や50%など)を下回ると、追証が発生します。翌営業日の指定時間までに追加入金するか、ポジションを減らして維持率を回復させる必要があります。
パターン2: 口座残高のマイナス化
急激な変動でロスカットが間に合わず、口座残高がマイナスになったケース。このマイナス分は業者への債務になります。
実際に起きた事例として、2015年のスイスフランショックが有名です。わずか数分で数千pipsの変動が起き、多くの国内FXトレーダーが数百万〜数千万円の追証を請求されました。
追証の金額は青天井
追証の怖さは 上限がない こと。口座に10万円しか入れていなくても、相場が急変すれば数百万円の追証が発生する可能性があります。
レバレッジ25倍で10万円を元手に250万円分のポジションを持っていたとします。暴落でレートが10%動いたら、25万円の損失。口座の10万円を差し引いても 15万円のマイナス が残ります。この15万円が追証として請求されます。
スイスフランショックのような極端な事例では、レバレッジと変動幅の掛け算で損失が膨れ上がり、入金額の何十倍もの追証が発生しました。
ふくり博士
「25倍のレバレッジだから国内FXの方が安全」と思っている人がおるが、 追証がある時点で、入金額を超える損失が出るリスクは残っておる。 レバレッジの制限と元本保護は別の話なのじゃ。
海外FXにはなぜ追証がないのか
海外FXの多くがゼロカットシステムを採用しています。口座残高がマイナスになっても、業者がそのマイナス分を負担してゼロに戻す仕組みです。
国内FXでゼロカットが提供されないのは、日本の金融商品取引法で 業者が顧客の損失を補填することが禁止されている ため。投資家保護を名目とした規制ですが、結果として追証リスクが残る構造になっています。
| 国内FX | 海外FX | |
|---|---|---|
| 口座がマイナスになったとき | 追証として請求 | ゼロカットで補填 |
| 最大損失 | 無制限(追証の支払い義務) | 入金額まで |
| レバレッジ | 最大25倍 | 数百倍〜無制限 |
レバレッジだけ見れば海外FXの方がリスクが高く見えますが、最大損失が入金額に限定される という点では、むしろ海外FXの方がリスクの上限が明確です。
追証を避けるために
追証リスクをゼロにする最も確実な方法は、ゼロカットのある海外FX業者を使うこと です。
それ以外の対策としては以下があります。
ポジションサイズを小さくする。レバレッジを控えめにし、必要証拠金に対して十分な余裕を持つ。
週末にポジションを持ち越さない。窓開けによる急変動のリスクを避ける。
重要イベント前にポジションを閉じる。FOMC、雇用統計、選挙など、大きな変動が予想される場面でポジションを軽くする。
ただし、どれだけ注意しても「想定外の急変動」は起きます。2015年のスイスフランショック、2016年のBrexit、2019年のフラッシュクラッシュ — いずれも事前に予測できたとは言い難い。対策はできても完全な回避は不可能です。
複利との関係
複利運用にとって追証は 最悪のシナリオ。元本がゼロになるどころか、マイナスになって借金を抱える。複利で積み上げた利益がすべて消えるだけでなく、日常生活にまで影響が及びます。
複利運用の前提は「元本を大きく減らさないこと」。追証はその前提を根底から壊します。だからこそ、複利運用を真剣にやるなら ゼロカットのある口座を選ぶ のが合理的な判断です。
「海外FXは危ない」というイメージがあるかもしれませんが、追証という観点では国内FXの方がリスクの上限がない。どちらが「安全」かは、何をリスクと定義するかによって変わります。元本を飛ばさないための口座運用全般は 複利が飛ばない口座運用設計 で扱っています。
ふくり博士
追証の請求は法的な債務じゃ。払えなければ信用情報に傷がつく可能性もある。 「FXで借金」という話は都市伝説ではなく、追証が原因で実際に起きておることじゃ。 ゼロカット採用の環境を選ぶだけで、このリスクは原則として発生しなくなるぞ。